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ラグビーのキックの飛距離を伸ばす方法【キックコーチが原因別に解説】

体を弓のようにしならせてプレースキックを蹴る丸田喬仁

キックの飛距離は、いろいろなフォームの総合点です。テストでいえば、答案の右上に書かれる点数です。飛距離は結果なので、その手前の問題を解いていきます。

飛ばない原因は、人によって違います。僕は100通りくらいあると思っています。

そのうえで、指導していて特に多い原因は次の4つです。

  1. 胸が落ちる(クランチ)
  2. 足の甲が、ボールの重心に当たっていない
  3. 膝・足首が曲がったまま当たる
  4. 軸足で止まれていない

どの原因にも共通する考え方は、足だけに頼らず、全身の力を使って蹴ることです。

この記事を書いた人:丸田喬仁(キックコーチ/Japan Kicking Academy 代表)。アメリカンフットボール関東大学1部リーグで、1シーズン最多得点の歴代記録(キックのみ63点)を持つ。小学2年生から71歳まで、のべ3,000名以上を指導。

原因1:胸が落ちる(クランチ)→ ステイトールで直す

ボールが上がらない人に、僕が伝えたいのはステイトール。常に姿勢を高く保ってほしい、ということです。NFL のコーチたちがよく言う言葉で、助走のときから、なんなら立ち姿のときから、姿勢を高くしておきます。

ミス①クランチ(畳み込む)

胸を下げて、体を畳み込んでいる状態です。胸が落ちて重心が低くなると、その分、蹴り足は外に流れるか、左に倒れながら蹴ることになります。足が高く上がらず、横に回りやすくなるので、ボールが上がってくれません。

ミス②スウェー(のけぞる)

蹴るときに腰がのけぞる状態です。軸足がアンバランスになり、しっかり立っているとはいえない状態になるので、力強く蹴れません。

合言葉は「チェストアップ、アイズダウン」

  • 胸は上げて、目だけ下げる
  • 腰をぐーっと反らせない(とても弱い姿勢になる)
  • 背骨を反らせるのではなく、後頭部のいちばん高いところが上から引っ張られているような感じ。お腹が少し薄くなる感覚があるかもしれません

ティーに置いたボールを蹴るキックは、お尻から頭にかけて重心を通して、まっすぐ衝撃を伝える(貫通させる)ゲームです。クランチもスウェーも、このゲームには向いていません。

ステイトールで蹴ると、背面の筋肉(押す筋肉)が働くので飛距離が伸びます。「力を出している感覚がないのに、ボールが飛ぶ」という感覚が得られるはずです。詳しくは「ステイトール」の記事で書いています。

原因2:足の甲がボールの重心に当たっていない

ボールの重心を、足の重心(甲)で蹴れると、いちばん効率よくボールが飛びます。正確に叩けると「ドン!」という打撃音がします。

当てる場所とボールの置き方は「ラグビーのプレースキックの蹴り方とコツ」で説明しています。

原因3:膝・足首が曲がったまま当たる

膝と足首を伸ばした状態でボールに当てると、脚が「硬い状態」でボールを叩けます。

指導のとき、選手によくこう聞きます。こんにゃくで叩くのと、ハンマーで叩くのと、どっちがボールは飛びますか? ハンマーですよね。

特に小中学生は、ボールが当たる瞬間に膝関節・足関節を固められないケースがほとんどです。

原因4:軸足で止まれていない

キック指導でよく使う言葉が『力(ちから)は「地から」』です。

  • 軸足が地面をとらえている間だけ、蹴り足がボールを押し込めます
  • 軸足が曲がって横に逃げたり、腰が後ろに反ったりすると、蹴り足の力はかなり弱くなります
  • 助走で加速して、軸足で止まる。その慣性の力をボールへ伝えます。良いアクセル(加速)と、良いブレーキ(止める力)です

軸足で止まる例は「田村優選手のキック」、軸足を伸ばして地面をとらえる例は「服部選手のキック」で解説しています。

全身の力を使う:体を弓のようにしならせる

体を弓のようにしならせてプレースキックを蹴る丸田喬仁

キックを蹴るとなると、みなさん蹴り足を頑張って振ろうとします。もちろん足を振って蹴るのですが、大事なのは体を弓のようにしならせることです。体の動きは、前面と背面が合わさって初めて完全になります。

最後の軸足は、大きく踏む

助走の最後、軸足をつく瞬間は、大きく踏み込んでください。小さく踏むのは、ブランコを小さく引いて離すのと同じ。少ししか揺れません。

1歩だけで蹴ってみるとわかります。ボールの近くに寄って軸足を踏むと、体がしなるスペースがなくて、ボールは飛びません。ボールから大きく離れて、最後の軸足を大きく踏み込むと、1歩だけでも40mくらいは蹴れます(僕の身長・筋力の場合)。

初心者は、手をパーにして開く

最後に蹴り足をついて、軸足を大きく踏み込む瞬間に、左手が前にあると、体が後ろにしなれません。蹴り足をついた瞬間に、左手もパーにして開いてください。体の9割は前に行っているのに、蹴り足と左手だけが後ろに残る形になると、勝手に弓のようにしなります。

  • 右足で蹴る人は左手、左足で蹴る人は右手です
  • 慣れてくると、開こうと思わなくても開いてきます

姿勢をつくるセルフケア:胸を開くストレッチ

スマホ、ゲーム、勉強を頑張っている選手は、肩を内側に巻く習慣がついていることがあります(巻き肩)。肩が耳より前にあり、首も前に出ていると、しなりを作るのがとても難しくなります。

胸を開くストレッチをやってみてください。

  1. 両腕を水平に伸ばす
  2. 手のひらを上に向ける
  3. 背中側に腕を伸ばす
  4. 胸が開くのを感じる

胸を上げる(チェストアップ)ことができる体を、セルフケアでつくっておきましょう。

一人でできる練習

  • 1歩だけで蹴る:最後の軸足の踏み込みだけを再現します。大きく踏めているか確かめられます
  • とにかくステイトール:どの練習でも、姿勢を高く保つ

動画で見る

簡単にキックの飛距離を上げる方法(全身の力・しなり・最後の踏み込み・胸を開くストレッチ)

コンバージョンキックを飛ばしたい人へ(ステイトール・クランチとスウェー・チェストアップ、アイズダウン)

よくある質問

Q. 筋トレをすれば飛距離は伸びる?

A. 伸びますが、アスリートとして、あくまでバランスよくトレーニングしてください。キッズ・ジュニア世代は、膝をロックする力が足りていない可能性が高いので、大腿四頭筋はある程度鍛える必要があります。高校生以上で、ある程度筋力があるなら、体の使い方を改善すると飛距離が伸びます。

Q. 小中学生でも飛距離は伸びる?

A. もちろん伸びます。飛距離が出ない原因を突き止める必要はありますが、小中学生は、ボールが当たる瞬間に膝関節・足関節を固められないケースがほとんどです。

Q. パントキックでも同じ?

A. まったく同じ考え方で、飛距離は伸びます。

Q. どのくらい飛べばいい?

A. 50m 蹴れたらすごいですね!

ほかのキックの種類や蹴り方は「ラグビーのキックの種類と蹴り方」にまとめています。

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