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ラグビーのプレースキックの蹴り方とコツ【キックコーチが手順で解説】

スタジアムに立つラグビーのゴールポスト

プレースキックは、毎回、ボールと体のセットアップを同じにする作業です。

そのうえで押さえてほしいことは、2つだけです。

  1. アプローチレーン:セットしたら、助走でまっすぐ進む。どこへも向かない
  2. 今のロケット置きに合う助走にする。横から大きく角度をつけて入らない

この記事では、キックティーの選び方から、セットアップ、助走、軸足、インパクト、蹴り終わりまでを、順番に説明します。

この記事を書いた人:丸田喬仁(キックコーチ/Japan Kicking Academy 代表)。アメリカンフットボール関東大学1部リーグで、1シーズン最多得点の歴代記録(キックのみ63点)を持つ。小学2年生から71歳まで、のべ3,000名以上を指導。

プレースキックとは

青空の下、芝生のグラウンドに立つラグビーのゴールポスト

キックティーにボールを置いて蹴るキックで、トライ後のコンバージョンキックや、ペナルティゴールで使います。

ラグビーのキックは、大きく分けて「Strike(殴る)」と「Push(押す)」の2種類です。コンバージョンキックは Strike で蹴るキックで、Push で蹴ってしまうと、飛距離も出ず、狙ったところにも飛びません。

手順1:キックティーとボールの置き方

ロケット置き:ターゲットに向けて先端を45°を目安に上げ、ボールの手前側の先端を蹴る(横から見た図)

ボールはロケット(斜め置き)に置きます。

  • ターゲットに対して、先端を 45°を目安に 上げます。
  • 最近は、先端をターゲットよりやや右側に傾けることも多くなっています(右足で蹴る場合。左足の人は左側)。
  • 蹴るのは、ボールの手前側の先端(低くなっている方)です。

今の選手の9割以上は、比較的高いティーにロケットで置いています。2015年ごろの五郎丸選手のように、低いティーにボールを縦に置くスタイルは少なくなりました。

キックティーの高さは選手によりますが、目安はこうです。

  • おすすめは、RB Vortex なら Mid Cut、Super Tee なら Throne の高さ
  • 初心者は、高いティーほど足に当てやすいので、RB Vortex の High Cut か、Super Tee の King

手順2:セットアップ(立ち位置を決める)

プレースキックのセットアップ:丸田のおすすめ(3歩下がって2歩直角、肩を合わせて1歩下がる)と、よくあるケース(45°にななめに4歩)

僕のおすすめのセットアップはこうです。

  1. ボールから 3歩、まっすぐ下がる
  2. 2歩、直角に曲がる
  3. 右肩をボールに合わせる
  4. その角度で 1歩下がる

よくあるのは、ボールから45°ななめに4歩ほど下がるやり方です。

ただ、正直に言うと、何歩下がるかは何歩でもかまいません。大事なのは最後に、蹴り足側の肩の外側を、ボールに合わせることです。

このとき、ボールが視界の中心にあったらアウトです。ボールは視界の端っこに置いてください。

セットアップの最後は、ボールが視界の中心ではなく端に入るように立つ

キックは「条件設定ゲーム」です。ターゲット、セット位置、レーン、軸足の位置、軸足のつき方、スイング方向。この条件がそろえば、ボールはまっすぐ奥に飛びます。スタート位置が1cmズレるだけでも、キックは失敗しやすくなります。だから、セットアップは毎回、几帳面に同じにします。

手順3:助走(アプローチレーン)

アプローチレーン:45°の角度のまま、まっすぐ入る。途中で内側に入り込むとボールの先端に寄ってしまう

セットしたら、助走でまっすぐ進む。どこへも向かない。 これがアプローチレーンです。

入る角度は 45° です。よくある失敗は、45°から入っても途中で内側に入り込んで、ボールの先端に寄ってしまうことです。

助走は最短でも3歩。プロで多いのは4歩くらいで、僕も4歩で助走します。

横から大きく角度をつけて入る助走は、今のロケット置きには合いません。 横から入ると脚が横に流れやすく、ロケット置きで求められる「真っ直ぐ振り抜く」動きができないからです。五郎丸選手も、キャリアの後半には助走の角度を大きく変えていました。

助走で全員にお手本にしてほしいのが、田村優選手の助走です。

  • 右足と頭を一直線にする
  • その一直線を、助走の方向に倒していく(棒を立てて、進みたい方向に倒すイメージ)
  • 重力を味方につけて、無駄な力みなく加速し、軸足で受け止める

全国から届く200本以上のキック動画を見て、いちばん多い誤解は「助走を軽視している」ことでした。助走を制すものは、キックを制すです。

手順4:軸足

軸足はボールからターゲットへの線と平行に置き、内側に向けるのは15°まで

軸足は、ボールからターゲットに引いた直線と平行に置きます。

ラグビーでは軸足を内側に向ける人がやや多いですが、内側に向けるのは15°までにしてください。それ以上向けると、軸足の膝がどんどん捻れていくからです。

力(ちから)は「地から」。 軸足が地面をとらえている間だけ、蹴り足に力が入ります。軸足が地面にコンタクトしていないと、蹴り足に力が入らず、飛距離が伸びず、まっすぐも飛びません。

軸足は、外旋できると、まっすぐ向けやすくなります。

手順5:インパクト(足のどこで当てるか)

足の甲で当てます。 足の甲は「足の重心」です。足の重心でボールを叩けると、いちばん効率よく飛びます。

足の重心で当てないと、足首が底屈・背屈のどちらかに動いてしまい、エネルギーがロスします。

足の甲で当てるために、蹴り足の股関節は、外旋から内旋させる必要があります。

蹴り足は、膝と足首を伸ばした状態でボールに当てます。 こんにゃくで叩くのと、ハンマーで叩くのと、どちらが飛ぶか。ハンマーですよね。

手順6:肩を開かない

蹴る前に、肩を開かないでください。

肩が開くと、蹴り足の軌道が「Cシェイプ」になり、ボールが左にも右にも飛んでしまいます。肩を開かずに蹴ると、蹴り足はボールを通ったあとまっすぐ抜ける「Jシェイプ」になります。

蹴り足の軌道:ボールを通ってまっすぐ抜けるJシェイプと、肩が開いたときのCシェイプ

野球でいえば、広角に打ち分けるときのオープンスタンスです。プレースキックで欲しいのはホームラン。ホームランを打ちたいときは体を閉じます。そのためのアプローチレーンです。

手順7:蹴り終わり(スキップスルー)

蹴り終わりは、軸足でスキップするように着地します。

アメフトのキックで「スキップスルー」と呼ばれるテクニックで、飛距離と正確性を同時に取れます。

よくある失敗と直し方

1. インパクトで、足首と膝が曲がったまま固まっていない(初心者に多い)

→ タックルダミーのような固いものを蹴って、インパクトの瞬間に関節を固める感覚を身につける

2. 助走を軽視している(蹴る瞬間だけを意識している)

→ セットアップから助走までを、毎回同じにする

3. 横から角度をつけた助走のまま、ロケット置きで蹴っている

→ アプローチレーンでまっすぐ入る

4. 蹴る前に肩が開く

→ 蹴り足側の肩の外側をボールに合わせ、アプローチレーンを守る

一人でできる練習

ゴールポストの根元の芝生に置かれたラグビーボール

1. 固いものを蹴るドリル

タックルダミーなどの固いものを蹴って、インパクトの瞬間に足首と膝を固める感覚を養います。やり方は、コンタクトドリルの解説動画を参考にしてください。

コンタクトドリルの解説動画(Instagram)

2. ボールなしの素振り

ボールを置かずに、セットから助走まで、全部の動きを通して行います。

まずは22mの正面から

練習で蹴る距離は、まずは22m、まっすぐの位置から入れば OK です。

よくある質問

Q. プレースキックのボールの置き方は?

A. 45°を目安に、ターゲットに対して先端を上げます(ロケット)。

Q. プレースキックは何歩下がる?

A. 僕は、3歩まっすぐ下がって、2歩直角に曲がります。右肩をボールに合わせて、その角度で1歩下がります。助走は4歩です。

Q. キックティーの高さはどれくらい?

A. おすすめは RB Vortex の Mid Cut の高さ、Super Tee なら Throne です。初心者は高いティーほど足に当てやすいので、High Cut か、Super Tee なら King がおすすめです。

Q. 小学生・中学生でも同じ蹴り方でいい?

A. 同じ蹴り方でいいです。小学生用の蹴り方なんてありません!

Q. 練習ではどのくらいの距離から蹴ればいい?

A. まずは22m、まっすぐの位置から入れば OK です。

いちばんの近道

いちばん早いのは、まず、いつも同じ場所にセットできているかを確認することです。

  • セット位置からボールまでの距離を測る
  • セット位置にマーカーを置いて確認する

など。

自分のキックを直接見てほしい方へ

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